生牡蠣にシャブリは合わない?ベストマッチは安いワイン

「生牡蠣にはシャブリ」という食べ合わせ……

海産物を食べるときに、すっきりと爽やかな白ワインが合うのはグルメな皆さまならご存知のことだと思いますが、中でもバブル時代からまことしやかに言われ続けているのが「生牡蠣にはシャブリがぴったり!」という食べ合わせ。

けれども、この食べ合わせ、実は半分正解で半分はウソだってご存知でしたか?

そもそも“シャブリ”ってワインの名前なの?

“シャブリ”とはフランスのワイン銘醸地であるブルゴーニュ地方最北に位置するワイン産地のこと。白亜質の土壌で、つくられたぶどうにははっきりとしたシャープな酸味が感じられます。また、貝殻が多く出土されていることから太古の昔は海に沈んでいたと言われています。

フランスのワイン法によって、各地でつくられたぶどうは手厚く保護されており、ワインにも原産地がきっちり表示されています。

またトップカテゴリに分類されるワインの場合はランクによっても表示が分けられます。シャブリの場合は上からシャブリ・グラン・クリュ、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ、プティ・シャブリとなります。

日本人はプルミエ・クリュ以上のシャブリがお好き

そんなシャブリですが、格付けが上に行くほど実はワインの製造過程で木樽による熟成を行っていることが多いのです。

木樽での熟成を経ると、ワインにはまろやかさとコク、そして樽独特の風味が加味されます。樽熟成されていないワインとは一線を画すほどの旨味が引き立ち、華やかな風味は日本の人々を魅了してきました。

しかし、このまろやかさや風味が生牡蠣の生臭さを強調してしまうのです。

これはワインの中にある鉄イオンと生牡蠣の持つ脂質が反応した後に、生臭さの元である臭いが発生するからです。これを防ぐためには酸味が必要なので、まろやかさや風味のあるワインではなく酸味の強いワインと合わせることが大事です。

生牡蠣に合うシャブリってあるの?

逆に言えば、樽熟成されていないシャブリやプティ・シャブリなら酸味のシャープさが際立ち生牡蠣にはベストマッチするのです。これは、ワイン単体で飲んだときには少し物足りないというものが多いようで、少しお高いイタリアンやフレンチではあまり見かけません。

シャンパンの輸入国として世界でも上位の日本ではハイクラスを望む嗜好があるようで、プルミエ・クリュ以上のシャブリと生牡蠣を一緒に食べて「全く合わなかった」と感想を述べている人を多く見かけます。

その土地のワインにはその土地の食物が合う

すっきりとシャープなシャブリは、生牡蠣のほのかな生臭さをリセットしてくれる役割があります。これは、シャブリの土地が遥か昔は海に沈んでいたことから、その土壌のミネラルをたくさん吸って育ったぶどうがその土地で捕れる食物を多く食べられるよう機能的に育っているのだと言われています。

他にも同じブルゴーニュ地方で、同じシャルドネという白ぶどう品種を使ってつくられた白ワインでも樽熟成させていない安価なものは生牡蠣に合います。

生牡蠣に白ワインを合わせたい場合は、そのワインが木樽で熟成されていないかどうかを確かめてから購入してみてくださいね。

参考文献:
魚介料理とワインの相性に関する一考察

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