意外な事実

花粉症やアルツハイマー病には、「お米」が効くかもしれない

治療が難しい症状を抑える食べ物がある?

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多くの人が深刻な症状に悩まされているにも関わらず、未だに治療法が確立されていない疾患はまだまだ多いものです。身近なもので言えば、毎年春になると私たちの鼻を通行止めにする花粉症や、若いうちから長い年月をかけて進行していくアルツハイマー病。いずれも、対処療法としてのお薬はあっても、根本から治すことは困難なのが現状です。

研究者たちは、あの手この手でこうした疾患の治療にアプローチしようと努力を続けています。今日は、食べ物を使った治療の可能性についてご紹介します。

免疫反応を利用した「お米」による治療とは

160824_稲治療が困難な疾患に役立ってくれるのが、実は日本人の主食である、お米です。しかし、ただのお米ではありません。人が持っている免疫反応のしくみを治療にうまく役立てるように、ちょっと工夫が凝らされているお米です。

人の体には、細菌やウイルスなどの病原体から身を守るしくみがあります。病原体が体の中に侵入すると、白血球やリンパ球などの細胞が、病原体を排除しようと働き始めます。このとき、病原体に「悪者である」と目印をつけるために、「抗体」というものが作られて、病原体にくっつきます。そうすると、抗体を目印にして、抗体がくっついている対象を食べて溶かすような細胞が、病原体を排除するよう動き出します。こうしたしくみが、「免疫反応」と呼ばれるものです。

免疫反応は常に起きていて、私たちの体を外敵から守っています。しかし、免疫反応が過剰になると、鼻水やくしゃみが出たり、風邪をひいたときのような症状が起こります。

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花粉症とは、本来悪者でない花粉に、悪者であるという目印がついてしまうことで生じます。つまり、花粉が体内に侵入すると、花粉に向けた抗体が作られて過剰に免疫反応が起こるのです。こうなると、鼻水やくしゃみが止まらなくなります。

花粉症を治療するには、花粉という物質を「悪者でない」と体に学習させることが重要です。そこで役立つのがお米です。遺伝子組み換えの技術を使って、お米の中に花粉の一部を少しだけ入れます。そして、そのお米を普通のご飯のように主食として毎日食べます。そうすると、花粉に対する抗体が少しずつ作られる状態になります。この程度の免疫反応では、鼻水やくしゃみが引き起こされないレベルです。

こうした状態を維持することで体が花粉に慣れ、花粉の時期がやってきても、過剰な免疫反応を引き起こさずに済むのではないかという作戦なのです。このように、花粉入りお米による花粉症の緩和法の研究が進められています。

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アルツハイマー病の治療に役立つお米も同様のしくみで開発されています。アルツハイマー病は、脳内にアミロイドベータ(Aβ)という物質が蓄積して、神経細胞が死滅していくことで発症すると考えられています。このため、アミロイドベータが作られるのを止める薬があれば良いのですが、今の所そうした薬は開発されていません。

そこで、アミロイドベータに「悪者である」という目印をつけさせるように、アミロイドベータの一部を含むお米を食べて、体に学習させるのです。日頃からお米から少量のアミロイドベータの一部を摂取することで、アミロイドベータに対する抗体がゆるやかに作られやすい体となりえます。こうして、脳内でアミロイドベータが作られたときも、抗体がくっついて、免疫反応により除去でき、アミロイドベータの蓄積を阻止できるのではないかと考えられているのです。

これらの研究はまだまだ実用化の段階には至っておりませんが、お米なら身近な食材ですし、食べ忘れる心配もありません。遺伝子組み換えには良い印象がない人も多いとは思われますが、毎日鼻水をズビズビさせたり、記憶力がどんどん低下していくことから解放されるのであれば、その方が幸せな気がしませんか。

参考:
スギ花粉症緩和米の研究開発について
アルツハイマー病 蓄積たんぱく質、遺伝子組み換え米で減少 東大チーム