XXを食べるとがんにならないって…?
「XXを食べれば、がんが予防できる。」
「YYを食べれば、がんになる。」
巷に溢れるこんな情報を、あなたも目にしたことはありませんか?そしていろいろな情報を集めていくうち「結局なにを食べれば良いの!?」と混乱してしまうことはないでしょうか。
でも、ちょっと待って。果たしてそれらの情報は正しいものですか?
その真偽を探るべく、筆者は2016年6月行われた東京ビックサイトでの「日本乳癌学会学術総会」に潜入。情報をバッチリゲットしてまいりました。
”XXを食べるとがんにならない”はウソ
国立がん研究センターが2015年に改訂した「日本人のためのがん予防法」にも、食事について「偏らずバランスよくとる」といった明記があり、食生活とがんは切っても切り離せない関係にありそうです。しかし「これを食べると予防できる!」といった特定食品は記載されていません。
今回は「日本乳癌学会学術総会」で実施された東京ミッドタウンクリニックの渡邉美和子医師の講演をもとに、がんと食事に関しての疑問を解決したいと思います。
本総会の実施にあたり事前にアンケートを撮った結果では、乳がんを経験した患者の8割のかたが食に関して以下のような悩みを抱えていたそうです。
「過去の自分の食生活に原因があり、がんになったのではないか?」
「今後、何を食べれば再発を防ぐことができるのか?」
「いろんな食品ががんに良いと言われたり、逆に良くないと言われていて何を食べたら良いかわからない」
では…実際に「コレを食べれば、がんが治る!」「アレを食べればがんにならない!」という食品は見つかっているのでしょうか?
答えはNO!
米国対がん協会が専門委員会を設けて、それまでに行われた様々な研究をまとめ上げ公表したガイドラインによると、特定の食品や栄養成分にがんを予防したり治す効果があると評価されたものはまだないそうです。
がんの発症のリスクを上げるもの、下げるものは日本でも研究が進んでおり、国立がんセンターのホームページに公表されていますが、あくまでリスクの問題。
これらの食品を食べたからといって“必ず”がんになったり、予防できたりするものではありません。
「これを食べるとがんを予防できる!」「これを食べたらがんになる!」といった断言形式の、切迫感を煽るキャッチコピーには十分注意してください。
結局何を食べれば良いの?
では、結局何を食べたらがんにならないのか。そんな夢のような食材は見つかっていませんが、「ひとつの食材にこだわらず、普遍的な食事を摂ること」が一番だそうです。
健康なひとであっても、体内には1日5000個のがん細胞が生まれ、それは自己免疫で退治されていると言われています。自己免疫機能を保持するために必要なのが「基礎体力づくり」。この「基礎体力づくり」のもととなるのが“バランスの良い食事”なのです。
「医療は多くのデータを積み重ねて検証し、科学的根拠として成立させたものに基づいて行われるもの。一例の結果だけで、覆るわけではない」と渡邉医師の話の中にありました。
つまり、仮に「これを食べたらがんが治った!!!」という事例が1件あったとしても、それがほかの人に当てはまるかといったらそうではなく、医療現場から見れば「化学的根拠に乏しい情報」のひとつでしかないのです。
講演はあくまで乳がんのものでしたが、他のがんにも当てはまるそう。巷の情報に踊らされて偏った食事をとるのではなく、バランスよくしっかりと食べることを心がけるべきなんですね!