じっとりとした空気。強い日差し。暑いですね。夏ですね。冷たい飲み物が本当に美味しい時期です。しっかり水分補給をして暑さに負けないようにしましょう!
ただ、ここでちょっと注意。冷たい飲み物ばかり飲んでいると逆にこの夏、乗り切れなくなるかもしれません。
冷たい飲み物を飲んで体の温度を冷やし、熱中症対策をするのは大切なこと。そもそも暑い季節は脳が勝手に冷たい飲み物を欲しますよね。しかし実は、その冷たい飲み物が引き起こす「冷え」はかえって体調不良につながる可能性があるのです。
体が冷えると夏バテに・・・
体を冷やすことはよくないとよく聞きませんか?これは、体が冷えすぎることによって血流が悪くなるためです。
血液の基本的な役割は「栄養素や酸素を体内の細胞必要なところへ運び、細胞の活動によって生まれる“代謝産物”というゴミや二酸化炭素を運び出す」こと。
血流が悪くなって栄養素や酸素の運搬がうまくいかなくなると、細胞が栄養をエネルギーに変換できなくなります。また “代謝産物”を運び出す働きが滞り、それらが溜まることで筋肉が炎症を起こし、硬直状態に。体がだる〜くなったり、いわゆる肩こり、腰の痛みとなります。
また、血流には体温を調節する働きもあります。血流の悪化により、体の各所に熱を運ぶ機能も低下してしまうため、消化器官内の消化酵素の働きが滞って消化不良に。胃腸の働きが低下することにより必要な栄養素を十分に吸収することができなくなり、体力が低下してしまうのです。
血流が悪くなって良いことはなにもないですね。血は流れてこその血なんです。
冷たい飲み物の飲み過ぎからの血流悪化による体調不良に加え、日々の暑さによって体が体温調節をうまくできなくなる自律神経の失調と合わさってあっという間に夏バテコース!負のスパイラルに突入です…
体を冷やすために冷たい飲み物は大事ですが、飲みすぎは禁物。できるだけ常温のものを飲みましょう。辛いかもしれませんが、夏バテより全然マシです。
冷房の効いた部屋でこれを飲んでいるそこのあなた。キンキンに冷えた飲み物を飲まなくても、もう十分体は冷えていませんか?その飲み物、常温にしましょう。温まったらまずい?夏バテより全然マシです。
体を温める飲み物、冷やす飲み物
ところで、飲み物は温度にかかわらず体を温めるものと冷やすものがあります。
例えば、コーヒーや緑茶は体を冷やす一方で、紅茶や中国茶、ハーブティーは体を温めます。
何が違うのかというと、これはそれぞれが発酵しているか・発酵していないか。発酵することで成分が酸化し“ポリフェノール酸化酵素”という食物酵素ができます。この酵素は直接体内で酵素として働くことはないものの、消化・吸収や他の栄養素の働きを助けたり栄養を強化するため、新陳代謝を行う酵素に良い影響を与え、代謝を活性化してくれるのです。
コーヒーや緑茶は炒って作られますが、紅茶や中国茶、ハーブティーは発酵した茶葉で作られています。「緑茶は紅茶と同じお茶じゃないか!」と思うかもしれませんが、炒ることによってこの“ポリフェノール酸化酵素”が破壊されてしまうので、体を温める作用が失われてしまっています。
夏といえども、体を冷やしてしまう要因はたくさんあります。体の冷えに注意して、暑い季節を乗り切りましょう!
参考:
[木村容子,枡渕彰,稲本一元,佐藤弘.五苓散が有効であった夏季の冷飲食後に生じた心窩部痛の検討.日東医誌. Vol.61 No.5.722-726.2010]
[西村圭一,前田樹海,中村きよみ.日本食品標準成分表の食品群と中医営養学の食性と関連性.日本栄養・食糧学会誌. Vol.65 No.4.155-160.2012]
テルモ体温研究所.体温と生活リズム