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「化学調味料」は毛嫌いするほど危険ではない気がする

2015年12月8日

化学調味料が嫌われる理由を見直す

150807_砂糖わたしたち日本人の和食文化は、お米の甘みやお漬物の塩味、魚介類の旨味などを中心に作られてきました。中でも旨味は、世界でも「UMAMI」の名で呼ばれており、様々な料理のだしとして和食の美味しさを支えています。昔は昆布やカツオなどからだしを時間をかけてだしを取っていましたが、科学の進歩により旨味成分の正体が分かり、旨味成分だけを大量に作ることもできるようになりました。

そうして生まれたのが旨味の調味料である「化学調味料」です。しかし、この化学調味料、「危ない」「体に悪い」などの評判とともに嫌われることが多いようです。

今日は、そんな化学調味料が本当に危険なものなのかを考え直してみたいと思います。

毛嫌い度1:「グルタミン酸ナトリウム」という名前自体が怖い

151027_化学物質化学調味料の成分は「グルタミン酸ナトリウム」です。数字を見ると一気げんなりする”数学アレルギー”な人のごとく、「グルタミン酸ナトリウム」という名前を見ただけ「危なそう!」と毛嫌いしている人もいるようです。

しかし、すべての物質にはこのような化学的な名前がついています。砂糖の主成分を「ショ糖」と呼べば危なくなくて、「スクロース」と呼ぶと危ないというのはどこかおかしな話ですよね。ショ糖もスクロースも、ミクロのレベルで見れば、炭素原子22個、水素原子22個、酸素原子11個という材料で出来ている、全く同じものです。

まずは、化学物質の名前に対して過剰に反応しすぎないように注意しましょう!

毛嫌い度2:天然由来じゃないと危険だ

151208_製造次に、「旨味成分であるグルタミン酸は、昆布などの天然の食材の中にも含まれているんですよ」と主張してみるとします。
すると、場合によっては、「たとえ昆布の中に含まれているとしても、天然由来のものは良いけど、人工的に作られたものはイヤなの!と返ってくることがあります。

これは、偏見ではないでしょうか?

先ほども述べたように、物質としては天然由来のグルタミン酸も、人工的に作られたグルタミン酸も全く同じです。化学調味料として商品にする場合は、結晶にしやすいようにグルタミン酸ナトリウムにしますが、ナトリウムも私たちの体液にたっぷり含まれている身近な成分です。

それでも「製造過程が人工的じゃないか!」という意見もおありかと思います。

それはもごっともですが、最近の化学調味料は、サトウキビなどの”天然由来の”原料から、味噌や漬物と同じように微生物の作用を使って作られています。砂糖だってサトウキビから、工場で人工的にショ糖だけ分離していますよね。サトウキビを工場で加工し、欲しい成分だけを分離して、商品にするという大まかな過程は、砂糖も化学調味料も同じです。その商品が砂糖の場合はOKで、旨味調味料の場合はNGというのは、偏っているのではないでしょうか。

毛嫌い度3:体に悪いらしいから食べたくない

151208_中華料理「名前にも抵抗ないし、天然由来と人工的なのが同じことも分かっている。それでも、中華料理の食べすぎで頭痛や体の不調が起きる原因は化学調味料だったと耳にしたことがあるが??」という声もあるようです。

確かに、グルタミン酸は、「ドーパミン」や「アドレナリン」のように、神経細胞を興奮させるはたらきをもつ、「神経伝達物質」のひとつです。覚せい剤をキメて、ドーパミンが大量に分泌されると異常行動を起こすようになるなど、特定の神経伝達物質が過剰にある状態というのは、体におかしな状態を作る原因となります。このため、グルタミン酸の取りすぎで体に有害なことが起こる可能性自体は否定しません。

しかし、それはあくまで食べ過ぎた場合です。しかも、悪いのは化学調味料ではなくグルタミン酸自体であり、天然・人工は関係ない領域です。誰もが安全であると思っている塩でさえも、大量にとれば生活習慣病を招きかねません。化学調味料も、適度な量だけ料理の隠し味としてパラパラと降りかける程度であれば、そのような中毒症状は起きないはずです。


以上をまとめると、「化学調味料は適量であれば危なくない」のではないでしょうか。もちろん、心理的にダメな方や、これを読んでも嫌い続ける方はいらっしゃると思います。何を食べるかは個人の自由ですが、化学調味料は元々は手軽に旨味をさまざまな料理に追加できるように作られた便利な調味料ですので、過剰に嫌わずに、適度な距離感で付き合っていけるともっと食事が楽しくなる気がしました!


味博士
味覚センサーレオを中心として、味覚や食の科学に関するニュースを配信しています。
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