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【味覚センサーの仕組み(3)】味覚の可視化と表現

【味覚センサーの仕組み(3)】味覚の可視化と表現

前々回では、おいしいとは何か、味覚とは何かについてを書いてみた。
そして前回は、味覚センサーをつかった味の定量化のしくみについて、書いてみた。

今回は、さらにその続きを書く、、、
味覚を可視化すると何が見えてくるのであろうか。

■味のバランスを表現する味チャート

味覚センサーを使って味を定量化すると、下図のような味チャートが得られる。

ピーマンの味チャート
ピーマンの味チャート

これはこのブログでもおなじみのチャートであるが、5つの基本味「甘味」「旨味」「塩味」「酸味」「苦味」の強さを総合的に見ることができるものであり、実際のヒトの舌による味の感じ方を再現している。

このチャートでは一目にして味の強弱が分かるため、その食品の特徴が明確になるだけではなく、食べ合わせを考える上でも役に立つ。

たとえば、「苦味」の強いピーマンの味は、「旨味」と「甘味」と「酸味」が強いクリームチーズを合わせることで抑える事が出来るので、ピーマンが苦手なお子様でもトライできるようになる。(味の抑制効果)

ピーマン→ピーマン+クリームチーズ
ピーマン→ピーマン+クリームチーズ

また、なぜ相性が良いのか説明することも可能である。
例えば、なぜ赤ワインにお肉、白ワインには魚なのか。これも味チャートから説明ができる。

赤ワインと相性
赤ワインと相性

赤ワインとステーキ肉の場合、赤ワインの苦味に対して、ステーキ肉の旨みや甘味が同じくらいの味の強さとなる。
しかし、赤ワインと魚の場合は、赤ワインの苦味が魚と淡泊な味わいに対して強すぎる為、魚の味わいを邪魔してしまうのである。

白ワインと相性
白ワインと相性

白ワインと魚の場合、淡泊な味わい同士なので相性がよい。
しかし、白ワインとステーキ肉の場合、肉の甘味や旨味が強すぎて、今度は白ワインの淡泊な味わいを感じ取りにくくなってしまうということが分かる。

■味の経時変化

味覚センサーは5つの味を測定できるだけではない。
所謂口の中での味の変化(後味)も測ることができる。

何かを食べていて、「苦味が口に残る」「甘ったるさが残る」など、感じたことはないだろうか。
味覚センサーでは、そうした先味から後味への経時変化、すなわち、時間の経過に伴う味の変化も測る事が出来るのだ。

経時変化
経時変化

上図をご覧頂きたい。

A商品とB商品を比較してみると、A商品はB商品に比べて、甘味がより急な確度で味が弱くなっていく様子がよく分かる。

つまり、これから甘みの後味がB商品に比べスッキリしてると言える。

■「コク」「まろやかさ」「キレ、余韻」「スッキリ」も数値化できる

さらに、5つの味の測定値を使えば、「コク」「まろやかさ」「キレ」「スッキリ」といった、曖昧な表現についても数値化する事が出来る。

「コク」「まろやかさ」は、5つの味の総合的な強さのバランスを、「キレ」「スッキリ」は経時変化を測定した際に後味が残らないことを意味している。

こうした表現をも数値化することで、食品の味をより人の感覚に近い形で客観的に評価する事が可能なのである。

■味覚マッピング

味覚センサーで測定した5つの味、また「コク」や「キレ」などの値を用いれば、味覚マッピングを作る事が出来る。たとえば、下記は、ワインのマッピングだ。

ワインの辛口などの表現は、甘味による。そもそもワインはブドウ糖をどれだけ残すか、、ということから甘口、辛口などの表現になっている。

従って、ワインは縦軸にコク、横軸に甘味をとることで表現が可能となる。

ワインマッピング
ワインマッピング

こうしたマッピングを利用する事で、商品ごとの特徴が一目で分かり、自分の好みに合わせた商品選びが可能となる。

■最後に

私達はこの味覚センサーにより、ようやく味の物差しができたのだ。
俗人的な味(味覚)を伝える手段ができるようになった。

食はヒトが一生涯において関わることが多いものの一つである。
その一回でもより多く美味しいものを選択できるようになる未来はすぐそこまで来ている。

美味しいとは何か、味を可視化することで食生活が豊かにできるように研究を続けていこうと思う。

*味覚センサーのしくみ(1)(2)はこちら↓↓

【味覚センサーの仕組み(1)】おいしさと味覚について

【味覚センサーの仕組み(2)】味覚センサーと味の定量化


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