前回は美味しさや味について、書いてみた。
今回は、その続き、、、
ところで、味覚とは極めて俗人的なものである。
あのスイカ甘くておいしかったよね~。あのトマトはうまみもたっぷりで甘くて最高だったわ。
あの蜜柑は濃厚で甘くておいしかったよね。
上記はいずれも曖昧な表現であり、伝わり方もまちまちである。
なぜだろうか。その答えは明白である。それらを測る共通の物差しである。
もし物差しがあれば食世界の変革を想像するに難くない。
■味覚センサーとその仕組み
慶應義塾大学にて開発された味覚センサーは、その味覚を定量的データとして出力することが可能な機械である。
簡単に言うと、ヒトが味蕾(みらい)で味を感じ取り、ニューロンを通して味を認識するというメカニズムを模倣している。
まずは味蕾(みらい)という器官で味を感じ取る仕組みの部分だ。
酸味、塩味をポテンショメトリックという方法にて電圧値を測り、甘味、旨味をアンペロメトリックという方法で電流値を測っている。苦味は両方の方式を用いて測っている。
これらの計測されたデータから濃度を算出し、さらにニューラルネットワークという、つまり人間が感じる味の強さを学習させる仕組みを用いている。これがニューロン(神経細胞)を通して神経伝達を行う仕組みの部分に該当する。
そしてそれら夫々の味の強さを定量データとして出力している。つまりヒトが味を認識する部分に該当する。
こうして、味覚は定量的データとして見えるようになる。
■味覚センサーで味が見えるようになった!
-味の相互作用
今回開発された味覚センサーの特徴は味の相互作用を再現できるという点にもある。
例えば図をご覧頂けるだろうか。
左図はコーヒーに砂糖を入れていく減少である。
コーヒーに砂糖を入れていくと、苦味の成分量は変わらないにも関わらず甘味が増えていくと同時に苦味が減ったように感じる。
これを味の抑制効果という(苦味の抑制)。
また右図は味噌汁に塩分を加えていくと旨味がより増えたように感じる。
これを味の対比効果という(旨味の増強)。味覚センサーではこちらの減少も再現できるのだ。
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