進化しない「お茶」と「ガリ」
回転寿司は、値段が手頃で食べる量も調節でき、お一人様でも苦にならないなど、外食として優秀です。お皿の色や値段のしくみは店舗によって様々であるものの、どこの回転寿司店にも、湯飲みを押し当ててお湯を注いで作るお茶や、好き嫌いが分かれるガリが用意されています。国内外の食文化がクロスオーバーしている今の時代、お茶とガリだけ変わらないのはちょっと不思議ですよね。
今日は、回転寿司にお茶とガリが常備されなければならない理由についてお教えします!
どちらも殺菌効果を狙っていた?
もちろん、食べ合わせとして相性が良くなければ定番になることはありませんので、お寿司とお茶やガリの味覚の相性が良いというのは前提です。食べ物の味を数値化できる味覚センサー「レオ」でも、ご飯とお茶の相性の良さを過去に示しています。お冷とご飯より、お茶とご飯の方が、ご飯の甘みとお茶の苦味によってコントラストが生まれるのです。
しかし、ただ味覚の相性が良いだけではないのです。本当の目的は、殺菌効果にあるのでした。冷凍・輸送技術の発達により、新鮮で安全性の高い魚が食べられるようにはなったものの、あくまでお寿司は生モノ。どんなに気をつけていても、食中毒などが起こる可能性はゼロではありません。
そこで、お茶とガリの出番です!お茶には細菌の活動を抑え込む「カテキン」と呼ばれる成分が、ガリの生姜には幅広い細菌に対して殺菌作用を持つ「ジンゲロール」と呼ばれる成分がそれぞれ入っているため、お寿司に万が一のことがあっても高い確率で食中毒を防止することができるのです。
酢飯やワサビにも殺菌効果アリ
実は、お茶やガリ以外にも殺菌効果を持つものがあります。シャリに使われている酢や、ワサビがそれです。寿司は元々保存食だったため、腐敗しないような工夫からシャリを酢飯したりワサビがつけられ始めたのですが、様々な研究が進むにつれてそれらが正しかったことが証明されるようになりました。
このように、お寿司には、細菌から身を守るための対策がばっちりなされている必要があるのです。お茶とガリは、殺菌という観点からいえば、これ以上進化のしようがないくらい、シンプルで合理的な存在なのでした。先人の知恵が詰め込まれたお寿司の文化、これからも大切にしていきたいですね!