しかし、【あるもの】を食べると、とても甘く感じられます!
皆さんはこの【あるもの】、ご存知ですか?
【あるもの】の特徴を並べあげてみましょう。
◎コーヒー豆くらいの赤い木の実
◎主に西アフリカで栽培されている
◎木の実自体は甘くない
一体これは、何でしょうか?
ずばり、『ミラクルフルーツ』です!
皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
普段中々食べる機会はないかもしれませんが、この木の実を食べたあとで酸っぱいものを食べると、甘く感じられるのです。
これは、ミラクルフルーツの中に含まれるミラクリンという物質の働きによるものです。
ミラクリン自体には味がありませんが、ミラクリンが酸味物質(水素イオン)と出会うと、ミラクリンの構造が代わり、甘味の受容体を刺激するようになるのです。
このため、酸味が完全に消えるわけではありませんが、強い甘味が感じられるようになるのです!
こうした、味覚受容体に作用して一時的に味を変えるような性質を持つ物質は、味覚修飾物質と呼ばれています。
逆に甘味を感じなくなる例として、『ギムネマ』があります。
こちらは南インドや東南アジアなどの地域に分布している植物です。
ギムネマの葉っぱやギムネマの含まれるお茶やガムを口にすると、ギムネマ酸が甘味受容体に結合する事で他の甘味物質が甘味受容体に結合する事が出来なくなり、甘さを感じられなくなります。
その他にも、マレーシアやインドに生息する『クルクリゴ』の果実を食べると、中に含まれるクルクリンの作用で、ミラクルフルーツのように、酸っぱいものや水が甘く感じられるようになります。
こうした植物は普段なかなか食べられるものではありませんが、カロリーゼロで甘さを感じらるような「新しい甘味料」への応用研究が進められているようなので、いつか皆さんの食卓にも並ぶ日が来るかもしれません。
皆さんも、もし機会がございましたら、味覚修飾物質を楽しんでみてくださいね!
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