元々は保存食として発明された寿司は、日本では古くから食べられています。
今では、魚の処理技術や冷凍技術の発達により、様々なネタを食べられるようになっています。
たとえば、昔はその腐敗のしやすさからマグロは美味しい魚とは思われておらず、猫ですらまたいで通る「猫またぎ」として揶揄されていたんですよ。
それが今では、深海魚までお寿司になる時代です。
日本人の寿司にかける情熱には目を見張るものがありますね!
皆さんは、どのネタが一番好きでしょうか。
寿司屋やリサーチ会社による「人気寿司ネタランキング」などを眺めていますと、マグロやサーモンの人気が高いようです。
それに対し一昔前は、サーモンなどは油っぽさ故に不人気であり、タイが人気だったようです。
なぜ、人気のネタが変わってしまったのでしょうか。
両者の味を比較して、考えてみましょう!
タイを味覚センサーで測定してみますと、このような結果になります。
続いて、マグロやサーモンの測定結果です。
1)タイと比べてマグロやサーモンは味が濃い
2)タイと比べてマグロやサーモンは甘味の割合が高い
(マグロやサーモンの甘味は、主に魚に乗ってる脂質由来です。)
これらより、今の日本人の味覚は昔の日本人よりも、
1)濃い味を好むようになってきている
かつ、
2)脂質としての甘味を好むようになってきている
と考えられます。
人の味覚は、食べるものの積み重ねで作られていきます。
いかに味付けをするかにこだわってきた欧米と比べ、日本は「素材の味を活かす」という調理法を古くより大切にしてきました。
こうした環境の中、日本人の味に対する感度は高まり、結果タイのような薄味のネタが好まれていたのですが、食のグローバル化が進んでいる昨今では、日本人の味覚が変化していくことは不思議ではありません。
味の感じ方はずっと一定なのではなく、世代を超えて徐々に変化していくんですね!
味の濃いものも良いですが、「旨味」を発見するに至った日本人の繊細な味覚を、今後も大切にしていきたいものです。
*繊細な味覚を磨くには「日本食」が一番!
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