【味博士の味覚コラム】サルとヒトの味覚

サルとヒトは動物の中では近い関係にありますが、知能や言語能力で大きな差があります。
なぜこのような違いがあるのでしょうか。

実は味覚の違いが関係しています。

ゴリラやチンパンジーなどの代表的なサルは、主に果実を食べます。
木に登って果実をとるのはサルたちにとって日常なので、木登りが得意になるわけです。

一方、ヒトは今でこそ農耕や牧畜などで糧を得ていますが、それは最近数千年程度の話です。
それ以上前には、狩猟採集をすることで食を得ていたのです。

サルとヒトが決定的に分かれたのは、特にヒトが狩猟をやり始めたからです。
狩りを成功させるには、チームで獲物を追いつめていく必要があります。
木に登って果物を取るだけなら、別にチームプレイは必要ありません。
しかし、狩りを始めると、チームで連携しなければ逆に獲物にされてしまいます。
まさに「食うか、食われるか」の世界です。

ここでチームのコミュニケーションを密にするために知能と言語が生まれたのではないかと考えられます。
また2足で走れるようにもなりました。

肉が好きな人は多いと思いますが、ヒトがヒトたりえたのは、肉を食べるようになったからなので、本能的に好きなのでしょう。
肉が好きな味覚を持った遺伝子がヒトになった、ということです。

さて、ここでサルとヒトが分かれた瞬間を再現してみたいと思います。時は500万年前・・・


サルA「何だこりゃ?」
サルB「よくわからん動物が倒れてるなあ。食えるんじゃねーか?これ」
サルA「えー。普段通り果実食おうぜ。」
サルB「いや、俺はちょっとこれ食ってみるよ・・・(モグモグ)ウマイ!」
サルA「そうか・・・(モグモグ)やっぱ俺は普段通りの果物がいいな。」
サルB「また食べてみたいな、これ。でもどうやればこんなにおいしいもの食べれるようになるかな・・・。」


サルAの子孫はそのままサルに、サルBの子孫はヒトになったのでした。めでたしめでたし・・・

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