「糖度=甘さ」ではない!-覚えておきたい甘味の話-

「糖度が高い」という表現をよく耳にします。今の季節でしたら、桃やマンゴーでしょうか。「糖度が○○以上の基準をクリアした上質な○○です。甘くて美味しいです」というのも店頭やWEBショップのアピールでよく目にします。

この言い回しだと糖度は甘さを表す単位、糖度=甘さと勘違いしがち。確かに、糖度は甘さの一つの目安にはなりますが、糖度=甘さではないんです。

実は、糖度を測る糖度計が計測できるものは、ショ糖だけ。私たちが甘みを感じることのできる糖分はショ糖以外にもブドウ糖や果糖などたくさんあります。その中で基準としてショ糖の数値を採用しているのが糖度となります。よく糖度の尺度として使われるのは、brix糖度(屈折率糖度)。水にショ糖を溶かした溶液の光の屈折率は水よりも大きくなるという原理を用いています。物理的に、そのものに含まれる糖の質量を測るものではありません。

そのため、同じ種類の食べ物の糖度を測って比較することはできても、違うサンプル間の比較は困難です。残念ながら、このマンゴーはあの桃よりも甘い、ということを言えはしません。

甘味の絶対値は、糖度計では測れません。

もちろん、同じフルーツでの比較は可能です。「この桃Aはあの桃Bよりも糖度が高いので甘い」ことは言えます。ですがショ糖の数値が比較できるだけで、実際どれだけ人間が甘く感じるかは、食べてみないとわからないところもあります。

また、温度でも感じる甘みは変わります。

あま〜い桃を食べるには、桃の温度が重要だった!?

この記事でも取り上げていますが、桃の温度が上がれば甘味は強くなり、酸味は弱くなります。

また、人間の感じる味覚は単純なものではありません。

基本、味覚は五味で構成されています。塩味・旨味・甘味・酸味・苦味。この組み合わせで味が決まります。

さらに、2種類の味覚がくみ合わさったときに、どちらかの味覚が強く感じられる「対比効果」(例:スイカに塩をかけると甘く感じる)
2種類以上の違った味を組み合わせると、どちらかもしくは両方の味が弱められる「抑制効果」(例:コーヒーに砂糖を加えると苦味が感じられにくくなる)

などなど味覚は互いに影響し合います。

桃の温度が上がって甘味が増すと、酸味が減ったのも「抑制効果」によるものです。

このように、糖度=甘味ではありませんし、甘味の絶対値は糖度計では測れません。単純に数字だけに踊らされないようにしたいものですね。

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