日本食は日本を代表する文化として、世界中から支持を得ています。日本の味は繊細、という評価を聞くこともしばしば。
ではなぜ、日本食が美味しいのか、どんな理由で繊細な味を出しているのか気になりませんか?
今回は、日本食を構成する「旨味」と「テスクチャー(食感)」についてご紹介します。
日本食で重要な「旨味」と「テスクチャー」
日本人好んで食べる日本食、和食は「うま味」と「テスクチャー」が関係しています。
和食で最も重要と言われる「だし」、硬さや柔らかさを楽しむ「食感」。日本食にとって「旨味文化」と「テスクチャー文化」は切っても切れない関係です。
他の要素も大事ですが、この2つが大部分を占めていると言ってもいいでしょう。
日本(アジア)は旨味文化によって発達してきた
日本では、大昔から昆布やかつお節、干し椎茸などで「だし」をとる文化がありました。
「だし」に含まれる「旨味」には、三大成分としてグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸があります。グルタミン酸は昆布など、イノシン酸はかつお節など、グアニル酸はしいたけなどに代表される成分です。
旨味は、食材に含まれている良い部分を抽出し、素材それぞれの相乗効果と掛け合わせて生み出されます。これは日本だけでなく、発酵調味料の文化があるアジア圏の国も同様のものが見られます。
また、日本のだしで特徴的なのは雑味を削ぎ落としていくこと。例えば西洋でだし食材として使われるグルタミン酸の豊富なトマトは最後まで鍋に入っていますが、日本の昆布やかつお節はだしを取るためだけに使い、役目を果たしたら鍋から出されることが多いです。
テクスチャー(食感)は日本人の繊細さを表す
日本では古くから噛むことを楽しむ習慣があります。 硬さや柔らかさ、歯ごたえや歯ざわりなどを研究し、繊細な料理を生み出してきました。
食材の食感を残したり、あえて柔らかくして口どけを楽しんだり。日本料理の奥は非常に深いです。
そのため、日本では食感を表す擬音や擬態語が他国に比べて多いことが分かっています。
「もちもち」「しっとり」「ザクザク」「シャキシャキ」など、日本人は様々な表現を使って料理を楽しみます。
食材の個性を尊重する日本ならではの文化と言えるでしょう。
料理をする際はぜひ「旨味」と「テスクチャー」を大切にした調理を心がけてみてください。
昆布やかつお節で一からだしをとってみたり、もやしは茹で過ぎずにシャキシャキ感を残してみたり。丁寧な気持ちで料理をしてみましょう。美味しさもひとしおになるかもしれません。
参考:調理学 日本フードスペシャリスト協会 編 建帛社