食べる前の一工夫で料理がもっとおいしく!?
温かい料理は温かいうちに、冷たい料理はぬるくなる前に……なんて料理を味わうには温度も大切なもの。この料理の温度にもう一歩踏み込むと「口腔内の温度」による味の感じ方の違いがあります。
口腔内の温度?と頭にはてなが浮いてしまったそこのあなた。どのような違いが見られるのか、滋賀医科大学 秦朝子先生たちの論文を基に見ていきましょう。
甘み・旨みを強く感じるのは30℃付近
口腔内の温度なんてあまり気にしたことがない方がほとんどなのではないでしょうか?しかし口の中の温度をコントロール、おおよそ30℃付近にすることによって、甘みや旨みを感じる閾値が低くなるということは事実のよう。
この現象は、舌に存在する体性感覚神経線維と、味蕾に繋がっている味覚神経線維の距離が物理的に近いことから、熱による影響を受けやすいのではないかと考えられているようです。
温度により閾値が変わるのなら、ちょっとの甘みや旨みでも強烈に感じることができるということですよね。介護やダイエットなど幅広く利用することができるかもしれません。
簡単に実験してみた
少し極端ですが、冷水、ぬるめの白湯、熱い白湯を用意して口腔内の温度を変えて試してみました。
まずは冷水。口の中がキンキンに冷えた状態で、砂糖水を含ませた和紙を咥えてみました。…なんも味がしません。和紙がうっとうしいくらいでした。
次にぬるめの白湯。指で触れたところぬるーいお風呂くらいに感じたので、ちょうど30度くらいでしょうか。咥えてみると今度は普通に甘みを感じることができました。相変わらず和紙はうっとうしいです。
最後は白湯。ほかほかと湯気が立っている状態で含み、口の中が温かくなったところで咥えてみました。甘みを感じるけれど、ぬるめの白湯ほど甘くないと感じました。一連の中でちょっとびっくりした瞬間です。とりあえず最後まで和紙はうっとうしかったです。
白湯等を含んでいる時間は統一しています。主観的な感想ではありますが、甘みの感じ方は確かに違ったように感じました。
今回筆者が試したやり方はかなり極端なやり方になります。「そりゃ口の中がキンキンに冷えていたら味なんか感じないよ!」と思いますよね。しかしそれは裏を返せば口腔内の温度によって、味の感じ方が違うということの一つの証拠でもあります。
突き詰めていけば、料理をもっとおいしくいただくことができたり、ダイエットの時に少量の砂糖で満足できる。なんてことが可能かもしれません。まずは一度、食事の際にぬるめの白湯を含んで試してみませんか。
参考:甘味と旨味の味覚閾値における口腔内温度の影響(原著 )