2015年3月30日 報道関係各位
「味覚センサー」を使って可視化実験
包丁の切れ味によって味覚が変わる!?
味覚の変化も明らかに
(PDF版はこちら)
慶大発VBのAISSY株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:鈴木隆一)は、貝印株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:遠藤宏治)と共同で、「包丁の切れ味による味覚変化」の実験を行いました。今回の「包丁の切れ味による味覚実験」では、包丁を切れ味によって、どれほど5つの基本味が変わるのかを調査しております。
近年、和食に対する注目が高まっていますが、和食は素材の味を活かすのが重要と昔から言われてきました。今回は、素材の味を活かす一つの方法として、道具に視点をおいて調査を行いました。
【調査方法】味覚センサーを用いて味覚を数値化
■ 仮説
食材を調理する上において最も重要な道具の一つである包丁。包丁の切れ味が悪くなれば、素材の繊維を裁ち切らず、細胞を潰してしまうことによって、その食材を構成する断面の味覚が変化してしまうということが考えられております。
■ 実験方法
切断面の味覚をAISSY社(慶大共同開発)の味覚センサー「レオ」により味覚分析を行います。
※切断面の味覚を調査することから、咀嚼状態を再現せずに切断面の味覚を抽出し
味覚センサー「レオ」(右写真参照)によるセンシングを行います。
■ 実験内容
今回の実験においては、まぐろ、トマト、ピーマンを検体としました。また、切れ味の変化を再現するため、新品(使用回数0回)、27,000回、54,000回、108,000回使用後の包丁4種を用意し実験を行います。
※モデルケース:1食300回×1日3回×1ヶ月30日とした場合→1ヶ月で27,000回となります。
【調査結果】切れ味が悪くなると旨味や雑味に影響がある
■ 実験結果
いずれも、味の違いに傾向が見られました。包丁の切れ味劣化による影響と考えられます。
【マグロ】
マグロにおいては、苦味が増え、旨味が減っていく減少が確認できました。54,000回使用においては95%の人が味の違いを感じられます。
※0.1pt違うと、60%の人が味の違いを感じられます。
※0.2pt違うと、95%の人が味の違いを感じられます。
【トマト】
トマトにおいては、甘味、旨味が共に減っていく傾向にあると言えます。
※0.1pt違うと、60%の人が味の違いを感じられます。
※0.2pt違うと、95%の人が味の違いを感じられます。
【ピーマン】
ピーマンにおいては、苦味が増えて行くことを認識できる現象が確認できました。また、酸味が増えて行く傾向にもあると言えます。苦味に関しては108,000回使用においては95%の人が味の違いを感じられます。
※0.1pt違うと、60%の人が味の違いを感じられます。
※0.2pt違うと、95%の人が味の違いを感じられます。
以上上記の結果から、包丁の切れ味によって味覚が変化するということが可視化されました(図1)。
その原因として、包丁の切れ味劣化による細胞切断が困難になり、細胞が破壊されることが考えられます。(写真3、4、5、6、7、8)
■会社概要
社名 AISSY株式会社
所在地 東京都港区三田3-1-23 メザキビル3F
設立 2008年5月12日
資本金 1,000万円(2015年3月現在)
代表者 代表取締役社長 鈴木隆一
事業内容 味覚分析サービス(受託分析/コンサルティング)
味覚に関する研究(共同研究)
■使用した包丁
商品名 関孫六 4000ST 三徳包丁 165mm
メーカー 貝印株式会社
品番 AB5222
価格 4,752 円
URL http://www.kai-group.com/store/products/detail/280
■本件に関するお問い合わせ先■
AISSY株式会社 担当:川原
TEL:045-561-1299 Mail:info@ajihakase.sakura.ne.jp
■表1:包丁の使用回数による味覚の違い
■写真3:【マグロ】新品の包丁で切った場合(切断面が鋭い)
■写真4:【マグロ】54,000回使用後の包丁で刺身を切った場合(切断面がギザギザ)
■写真5:【トマト】新品の包丁で切った場合(切断面が鋭い)
■写真6:【トマト】54,000回使用後の包丁で刺身を切った場合(旨味が流れている)
■写真7:【ピーマン】新品の包丁で切った場合(切断面が鋭い)
■写真8:【ピーマン】54,000回使用後の包丁で刺身を切った場合(切断時に輪が割れる)
合わせてチェック:日本人の「旨味」正答率71%、外国人の正答率34%の2倍以上。日本人の方が「味覚力が高い」という結果も明らかに。