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マンゴーは冷蔵庫で2時間冷やすと甘くなる!味覚センサーで検証

マンゴーは冷蔵庫で2時間冷やすと甘くなる!味覚センサーで検証

買ってきたマンゴーを、冷蔵庫でちょっと冷やして食べたら甘味が増して美味しかった……そんな経験はありますか?

溶けたアイスクリームよりも冷たいアイスクリームのほうが甘さが控えめに感じるように、温度の変化によって甘味の感じ方も変わります。そのため、常温よりも冷やしたほうが甘味は少ないはず。しかしマンゴーを冷やすと、甘味が増したように感じる……なんとも不思議ですね。

そこで今回は、常温のマンゴーと冷やしたマンゴーを味覚センサーレオで分析。本当に甘味の数値が上がっているのかを科学的に検証しました。

2時間冷蔵のマンゴーがもっとも甘味が高い

用意したのは常温のマンゴー、冷蔵庫で2時間冷やしたマンゴー、冷蔵庫で12時間冷やしたマンゴーの3種類。

それらを、ヒトの味覚を模した味覚センサー、レオで分析していきます。

味覚センサーレオ
味覚センサーレオ

味覚センサーレオはニューラルネットワークを用いて人間が感じる味覚を再現し、数値に落とすことができる人工知能です。そのレオによるマンゴーの甘味の比較結果がこちら。

常温のマンゴーがもっとも甘味が低く、冷蔵庫で2時間冷やしたマンゴーがもっとも甘味が高いです。12時間冷蔵したマンゴーでは、2時間冷蔵したマンゴーよりも甘味が下がってしまっています。

ちなみに、常温と2時間冷蔵の甘味の数値は、90%以上の人が認識できるであろう有意差。2時間冷蔵と12時間冷蔵は、おそらく半数程度の人がわかる程度の差となっています。

マンゴーを食べるのであれば、常温よりも冷やして食べた方が甘く美味しく食べられるということですね。

では、なぜ冷蔵したマンゴーは甘味が上がったのでしょうか。

※以上で結論は終わりです。ここから長く苦しい解説テキストのターンになりますので、だるくなったら飛ばしてくださいね。

なぜ、マンゴーを冷やすと甘味が上がるのか?

秘密は糖の種類にあります。冷蔵したマンゴーの甘味が高いのは、冷やすことで果糖の甘味が高くなるからです。

果物の甘味は主にショ糖(スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)から構成されています。スクロースの甘さを1とすると、グルコースは0.64〜0.74、フルクトースは1.15〜1.73程度です[*1]。

単糖であるブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)にはα型とβ型があり、ざっくり言うとこれらが結合した構造になっています。ブドウ糖(グルコース)はα型のほうがβ型より1.5倍甘く、逆に果糖(フルクトース)はα型よりβ型のほうが3倍甘いです。ショ糖(スクロース)はα型グルコースとβ型スクロースが結合した二糖類です。

このなかで、温度変化が著しいのは果物の甘味のなかでもっとも強い、果糖(フルクトース)。フルクトースは温度によってα型とβ型の割合が変わります。α型より3倍甘いβ型の割合が、低い温度のほうが高いんです。

温度変化のほとんどないスクロースの甘さを1とすると、5℃の状態では1.5倍程度の甘味を有していますが、温度が上がると下降し、40℃でスクロースと同じ1、60℃で0.8まで下がります。

イメージとしてはこんな感じです。

参考*1 甘味の基礎知識をもとに作成

ちなみに、ヒトが「甘味が下がったな」と感じるのはだいたい5℃くらいが目安です。

なぜ、12時間冷蔵のマンゴーは甘味が下がったのか?

マンゴーは暖かい地域で栽培される果物。そのため、低温に弱いという特徴を持っています。低温で保存するとマンゴーの呼吸が抑制され、熟成もゆっくりになります。

完熟度合いにもよりますが、沖縄県産マンゴー(アーウィン)を分析した研究[*2]によると、低い温度では糖類の含有量が低下するようです。

こちらが、マンゴーの貯蔵0日目と14日目における、ショ糖・ブドウ糖・果糖の含有量を貯蔵温度(5℃・25℃)ごとに比較したグラフ(mg/100mg)です。

参考*2 沖縄県産マンゴー (アーウィン) の完熟果と緑熟果の最適貯蔵温度をもとに作成

100mg中の糖類の量は、ショ糖は5℃より25℃で貯蔵したほうが上がり、ブドウ糖はさほど変わりがなく、メインの果糖は5℃よりも25℃で貯蔵したほうが圧倒的に多くなっています。

ちなみに5℃の状態において、完熟では低温障害が起こらないものの、十分に熟していないものでは発生してしまうようです。買ったマンゴーを冷蔵庫に入れる際は低温障害に注意したほうが良いかもしれません。

……とまあ長々書いてしまったんですが、要は「あまいマンゴーを食べたいなら冷蔵庫で1〜2時間程度冷やして食べると良いよ!」ということです。

また先日、「バナナを冷蔵庫に入れておくと、なぜ味や香りが変わるのか」の記事において低温が熟成中のアロマ形成遺伝子の活性を低下させるという研究結果をご紹介しました。もしかするとこれと同じことがマンゴーにも起こっているかもしれません。

マンゴーを食べる際は、冷蔵庫で長く保存しようといったことをあまり考えず、悪くなる前に食べることを前提として、食べる前に冷蔵庫に入れましょう。せっかくなら美味しく食べたいですからね。

参考:
*1 甘味の基礎知識
*2 沖縄県産マンゴー (アーウィン) の完熟果と緑熟果の最適貯蔵温度

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