Loading...

あのジビエは生活習慣病やガンの防止に効果がある?

押しも押されもせぬグルメ界のヘルシー系アイドル、降臨

グルメ界のアイドル「GBE48」、もとい「ジビエ」(フランス語:Gibier)と呼ばれる野生動物の肉は、フランス料理における高級食材。今回は、選りすぐりのGBE48メンバーの中から、すらっとした足に白いおしりがキュート、そして夏に現れる白い水玉模様が何ともスタイリッシュなCervus nipponをご紹介します。

そう、今回登場するのはニホンジカ

ニホンジカの肉は、上品な赤身の味わいが魅力。牛肉・豚肉・鶏肉といった畜産肉に比べ、高タンパクで低脂肪。野生での生息環境が引き締まったボディを作るのでしょう。また、鉄分が多くミネラルやビタミンも豊富である一方、コレステロールが少ないという優れた特徴を備えています[※1]。

高タンパクで低脂肪なシカ肉は、それだけでダイエットのうれしい味方ですが、少ない脂質の組成においてもその質のよさが注目を集めています。

脂肪の量だけでなく脂肪酸のバランスが大事

食物に含まれる脂質の主成分は中性脂肪。脂肪の性質を左右するのは、さまざまな種類の脂肪酸です。脂肪と一括りにしてしまいがちですが、種々の脂肪酸のバランスも重要。

特に注目したいのは必須脂肪酸。人間の生命活動において重要な役割をもつにも関わらず体内で作り出すことができないため、食物から摂らなければなりません。必須脂肪酸には、n-3系多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)とn-6系多価不飽和脂肪酸(n-6系脂肪酸)の2種類があります。

魚の油に多く含まれ、サプリにもなっているエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、どちらもn-3系の脂肪酸。一方n-6系脂肪酸は紅花油などの植物油に多く含まれます。

数々の研究結果から、n-6系脂肪酸に対するn-3系脂肪酸の比が高いほど、心血管系疾患などの生活習慣病のリスクを減らし、アレルギーなどの炎症性疾患やガンに対する抵抗性を高めるということが分かってきました [※2]。

生活習慣病を予防する!優れた栄養特性のシカ肉

ニホンジカの亜種・エゾシカ肉の脂質における脂肪酸の構成比を調べた研究では、牛肉や豚肉に比べてn-6系脂肪酸に対するn-3系脂肪酸の割合が著しく大きく[※3]、その傾向はエゾシカの成長過程でも変わらない[※4]ことが判明。

また、オーストリアでジビエ5種の脂肪酸について解析した研究によると、有意な差ではないものの、ニホンジカと同じシカ属のアカシカが最もn-6 / n-3比の値が小さい(つまりn-3系の割合が高い)結果に [※5]。ちなみにこの研究では、実際の状況を再現するためにプロのシェフが料理。分析後のサンプルは研究者のお腹の中に入ったのでしょうか、うらやましい…。

これらの研究から、シカ肉に含まれる脂質の成分は、生活習慣病やアレルギー、ガンなどの予防に効果があると期待されます。もちろんバランスのよい食事と適切な運動や休養をとることが大前提ですが、魚が苦手な人やお肉大好き派にはうれしいアイドルですよね。

ちなみにニホンジカの肉を食べることは、生態系を守るために引き換えになった命を無駄にしないことにもつながりますよ。野生の恵みをありがたくいただきましょう。

参考:
※1 食品データベース(文部科学省)
※2 脂肪酸バランスと炎症の制御
※3 エゾシカ肉の一般成分脂質性状および無機質含量(1999)
※4 年齢の違いが野生エゾシカ肉の理化学特性および栄養成分に及ぼす影響(2014)
※5 Healthy n-6/n-3 fatty acid composition from five European game meat species remains after cooking

関連記事:
グルメ界のアイドル「GBE48」を徹底解説!【期待の新星?】
自然環境の保全につながる?ジビエから日本の「いま」を考える
【ジビエの食べ方】鹿肉は味噌鍋との相性が抜群だと判明!

琴田まこ
生態学と化学で「食」を斬るサイエンスコミュニケーター。
旬のものと地のものに目がない。今日も自然の恵みに感謝。
コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です