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メントスコーラに隠された科学の秘密を探ってみた!

メントスコーラに隠された科学の秘密を探ってみた!

「メントスコーラ」は遊びを超えた「科学の教材」だった?

みなさんは「メントスコーラ」ってやったことありますか?
コーラにメントスを入れるとものすごい勢いで泡が噴出するこの現象。現在では多くのかたに親しまれるこの遊びは1999年にアメリカのDavid Letterman Show[1]という深夜バラエティ番組で公開されたのが初めてだと言われています。以来、テレビやインターネットで幾度となく取り上げられました。

ところで、一体なぜコーラにメントスを入れるだけで大爆発が起きるのか…気になりませんか?

実はコーラにメントスを投入したとき、ボトルの中では流体力学や表面科学など、さまざまな科学に関連した現象が生じています。「メントスコーラ」は言わば、遊びを超えた「科学の教材」だったのです。

2008年、メントスコーラはアメリカの物理学会で論文として発表されるほどに大きな議論を巻き起こしました[2][3]。ここではその論文を基に、この遊びに隠された科学に迫ってみたいと思います。

炭酸飲料の中で巻き起こる二酸化炭素の脱出大作戦!?

さて、まずはコーラに限定せず炭酸飲料中の二酸化炭素について考えてみます。

炭酸飲料が多量の二酸化炭素を溶解させた飲み物であることは多くのかたがご存知でしょう。キャップを開けるとプシュッという音とともに,炭酸ガスが抜けていくことからもわかるように、炭酸飲料中の二酸化炭素は非常に不安定な状態にあり、常にコーラの中から脱出することを目指しています。

しかし、水という表面張力が非常に強い液体の中に存在するため、二酸化炭素同士が集まって炭酸ガスとして出て行こうとすると、図1のように水に潰されて阻まれてしまいます。

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図1 炭酸飲料の中の炭酸ガス(イメージ図)

このような状態では、熱や振動などのエネルギーを外部から与えない限り二酸化炭素はなかなか脱出できません。これが、不安定な状態であるにもかかわらずコーラを開栓した途端に炭酸ガスが吹き出てこない理由です。

では、二酸化炭素の脱出大作戦は不可能なのでしょうか??

ここで、炭酸飲料をグラスに注いだときのことを思い出してみてください・・
ポコポコと出てくる泡たち。よーくみると、それらのほとんどがグラスの側面や底面から出てきているように見えるのではないでしょうか?

実は、水中で二酸化炭素が集まって一つの炭酸ガスの気泡を作るよりも、グラスの表面の凸凹の隙間で炭酸ガスを作るほうがラク(エネルギーが少なくて済む)ということが知られています(図2)。これは言い換えると、炭酸飲料の泡立ちは、炭酸飲料が接しているものの「表面形状」にも関係しているということです。

図2 グラス表面の炭酸ガス(イメージ図)
図2 グラス表面の炭酸ガス(イメージ図)

このような状況を考えると、二酸化炭素の脱出作戦の全容が見えてくるのではないでしょうか?

(1) 水の表面張力の影響を下げるものを入れる
(2) デコボコした形状のものを入れる

ということが重要そうです。

メントスコーラの秘密をクローズアップ!

図3と図4はいろいろな炭酸飲料にメントスを投入した際にボトルの中の炭酸飲料がどれくらい失われたか?(≒噴出の激しさはどれくらいか?)を示したグラフです。

ボトルから失われた質量
図3 CokeとDiet Cokeそれぞれにメントスを入れた際に ボトルから噴出した液量([2]や[3]のデータをもとに著者作成)
ボトルから失われた質量_2
図4 Tonic WaterとDiet Tonic Waterそれぞれにメントスを入れた際に ボトルから噴出した液量([2]や[3]のデータをもとに著者作成)

この結果から、コーラよりもダイエットコーラ、トニックウォーターよりもダイエットトニックウォーターの方が、多くの液量がボトルから噴出していることがわかります。”ダイエット”と名がつくこれらの飲料には、砂糖の代わりにアスパルテームなどの人工甘味料が多く使用されており、このアスパルテームの量がメントスコーラの噴出の激しさに影響を与えているようです。

実際、 ダイエットコーラに多く含まれる人工甘味料のアスパルテームや防腐剤である安息香酸ナトリウムなどの成分は、水と二酸化炭素の間で界面活性剤として作用し、水の表面張力の影響を低下させると考えられています。

次に、メントスの働きについても考えてみましょう。メントスはアラビアガムやゼラチンを主成分とするお菓子で、これらの成分がアスパルテームや安息香酸ナトリウムと同様、界面活性剤の働きをします。また、メントス表面に空いた無数の小さな孔が気泡発生を容易にしています。先に述べた(2)の効果ですね。

論文ではメントスをコーラに入れた際の落下速度や反応の継続時間についても触れられています。図5をみると、メントスは岩塩や他の菓子に比べてボトルの底に到達するまでの時間が短く、反応の継続時間が短いことがわかります。

底に到達する時間が早いと、発生した炭酸ガスがボトルの中を移動する距離は長くなります。その間、コーラ中の二酸化炭素が次々とその炭酸ガスに合流して失われるため、短時間で一気に脱出しようとした炭酸ガスでボトルの入り口は溢れかえり、激しい爆発が生じているという可能性もあります。

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図5 ボトルに投入してからボトルの底に到達するまでの時間(左)と反応時間(右)([2]より抜粋)

最後に、ここまででみてきたメントスとコーラの特徴についてまとめてみましょう。

(1) (ダイエット)コーラに多く含まれるアスパルテームや安息香酸カリウム、およびメントスに含まれるアラビアガムやゼラチンが界面活性剤として働き水の表面張力の影響を低下させる働きをする
(2) メントス表面には無数の小孔があり、炭酸ガスが生成されやすい
(3) メントスはコーラボトルの口に入るサイズのものの中ではボトルの底に到達するまでの時間が比較的短いため、激しい爆発を引き起こしている可能性がある

以上、メントスコーラに秘められた科学の一部を紹介してきました。

噴出する高さや激しさといった内容は本論文でもまだ詳しく言及されておらず、まだまだ追究してみる価値がありそうです。

手軽にできる「遊び」として、「科学の教材」として・・メントスコーラをもっともっと楽しもう

ただし、くれぐれも直接体内で混ぜるなど、危険な実験は控えてくださいね。

参考文献
[1] Mentos on Letterman
[2]Coffey, Tonya Shea. “Diet Coke and Mentos: What is really behind this physical reaction?.” American Journal of Physics 76.6 (2008): 551-557.
[3] Coffey, Tonya Shea.”Diet Coke and Mentos: What is really behind this physical reaction?.”

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